沖縄コミックチャンプルー - 第1回 やなせたかし先生

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インタビューコーナー

お待ちかね!インタビューコーナーがいよいよスタート!
マンガ家をはじめ、コミックチャンプルーがお世話になっている方もこのコーナーに登場する予定!
インタビューのリクエストがあれば、メールinfo@comichan.comか、FAXや郵送でどんどん送ってね!
待ってるぞ!


やなせたかし先生

記念すべき第1回目のインタビューは、アンパンマンのやなせたかし先生!編集長が日本漫画家協会に所属している御縁で実現したインタビューだ!他では聞けないお話もうかがえたぞ!


とても気さくに話して下さる、やなせ先生
アンパンマンのお仕事をはじめ、何かと忙しいやなせ先生。現在どんなお仕事をなさっているのだろう。

「現在はアンパンマンはもちろん、新しい絵本でNHKの落語番組で『絵本寄せ』が本とDVDが出るね。他には相変わらずコンサートもある。アンパンマン20周年記念として7月12日から『それいけ!アンパンマン妖精リンリンのひみつ』を全国一斉ロードショーをするので、ぜひ見に行ってもらいたいね。今は声を入れてる段階でチェックはこれから。ポスターは色校正が出た。(インタビューしたのは6月12日)作者がポスターを描いて校正もしてるのは珍しい。

 

仕事は面白いからやってる。面白くなかった事はほとんどない。そうでなかったらこの仕事に入らないよ。こんなに割に合わない仕事はないし、何の保証もない。一種の専業失業者。ひとつの仕事が終ってひとつの仕事が来る。失業保険も何も保険もないもんね。人気が落ちたら終り。マンガ家だけじゃなく、役者とかもそうなんだけど。本が売れなくなったら終わり。人気はいつ落ちるか全然分からないからコワイよね。明日の運命なんてわからない。もう90歳なので、これからやってみたい仕事はとくにないけど、今のところ依頼がどんどん入ってくる感じ」


せっかくなので、第37回日本漫画家協会賞の詳しい経緯もうかがった。

大賞 浦沢直樹氏「20世紀少年」/「21世紀少年」小学館刊

「浦沢くんは今のコミック界を見ると、絵も上手いし考え方が正統派。日本はマンガ王国といわれてるけど、週刊誌等には質の悪いのも多いけど、浦沢くんにはそれがない。これまでの作品もステージが壮大で、世界を舞台にドイツをステージにしたのも多い。受賞作は難しい話だけどね。万博や手塚治虫のトキワ荘の頃は描かれているけど、古い時代なのに女の子にも人気がある。現在の漫画は女の子が好きにならないとダメ。男の子のファンだけでなしに、女の子のファンが浦沢くんにはついている。それは良質だから。漫画家協会としても浦沢直樹は賞をとっておくべきだと思った。票は圧倒的に多かったね」

大賞 南ひろこ氏「ひなちゃんの日常」産經新聞出版刊

「これななんと産經新聞の1面にしかもカラーで連載されている。普通の家庭マンガはそんな所にはない。しかも『フクちゃん』とか名前だけのはあるけど、『日常』が付いてるのは初めて。見た目は可愛いが、実はある種の革命が起きている。言葉がすごい丁寧。今のマンガは乱暴なものもあるけど、新聞マンガとは家庭に入っていくわけで、きれいなマンガであるべきだと思う。しかも、ひなちゃんだけくっきり見えるように演出されている。他の人の髪の毛は茶色なのに、ひなちゃんだけ黒くて目立つようにしている。他のキャラクターはひなちゃんより弱い。このやり方はおそらく新聞マンガでは初めて。ちびまるこちゃんはお母さんに似てるけど、ひなちゃんのお母さんは少女マンガのように美化されている。これは女の子から見た視点で、お母さんはひなちゃんにはにても似つかないほど、エレガントに描かれている。新聞漫画では今までなかった家庭漫画といえる。それを見のがしているのはおかしい。マンガを描く以上は、ある意味で何かのユニークというか、今までにないものがなくてはならない。」

優秀賞 中山星香氏「妖精国の騎士」秋田書店刊

「20年間やりつづけた少女マンガ。大恋愛ドラマで中世騎士の物語。僕のアンパンマンも20年やてるけど、1つの話を20年ずっとやってるのが凄いよね。15歳の人が読み出すと、35歳になっちゃうんだもん。今のコミックだと大体6年、長くて8年だと言われてる。6年経つとファン層が変わるんだよね。読み切りシリーズなら大丈夫だけど。長編の場合、子供ができてオバサンになってもまだ少女マンガを読むかという。このお話は非常に壮大で、その努力と情熱は買わなくちゃいけない。大概、途中で息切れしたりするけど、ずっとボルテージを保ったままやれたのが凄い。賞をあげるべきだと。これを切らなかった雑誌社も凄い」

特別賞 中野晴行氏「謎のマンガ家・酒井七馬伝」筑摩書房刊

「現在の日本のマンガの原点は手塚治虫の『新宝島』。それを見て石ノ森章太郎や、さいとうたかをなんかもそこら出発した。酒井七馬は手塚治虫と共著なんだよね。ところが『新宝島』の企画を出したのも酒井七馬、構成したのも酒井七馬。絵を描いたのが手塚治虫。この酒井七馬は貧窮のうちに死んでいく。日本のコミックの原点を描いた酒井七馬は消えてしまって、ほとんどの人は知らない。その酒井七馬に焦点を当てた。七馬は絵も上手くて、関西マンガ界のボスだった。いろんなマンガ家を育てたけど彼は残らなかった。なぜならどんなマンガでも描いたけど、最後まで自分のマンガはどういうマンガか発見できなかった。そういうマンガ家は消えていく。俺と似てる。どういうマンガを描いていいか長い間わからなかった。そういうマンガ家はどんなに上手くても大成しない。つまりアイデンティティがない。酒井七馬は不易の中で死んで行った。『新宝島』は表には文・酒井七馬、絵・手塚治と描いてある。奥付にはには著者・酒井七馬。手塚治虫の名前がない。それを見て手塚治虫は怒って決別する。その後手塚治虫は『新宝島』を描き直している。そこから革命がおこって、文章を書いた酒井七馬は消えてしまう。そんな埋もれたカゲの存在の酒井七馬にスポットを当てたのがいい」

特別賞 橋爪まんぷ氏 全業績に対して

「とにかく人柄がいい。長野県で熱心にマンが教室などを20年やっている行動がいいよね。非常に誠実。まんぷさんに会った人はみんな彼を好きになる。長野日報で20年すっとぼけたマンガを描いてる」

文部科学大臣賞 成瀬國晴氏 全業績に対して

「テレビ、ラジオに出ていて関西では有名人。11PMとかやっていた。関西のテレビで『テレビマンガ』という番組があって、それに出たマンガを本にまとめた。10秒しか写らないもをのとっておいた。これはひとつのマンが文化の中で、キチンとした役割を果たしたのではないか。マンガの文化として残すべきではないか。ゲームやケータイなどメディアが変化していく中で、テレビというメディアの中で最後のアナログ作品として、ひとつのマンガの変革の中で、キチンとした役割を果たしたのではないか」

選考会では受賞作品以外でも、賞に値する作品が沢山あったようだ。


では、やなせ先生は最近の国内外のマンが作品についてどう思っているのだろうか。
「最近は沢山あり過ぎて全体を把握できない。昔なら手塚さんのようにひとりの頂点がいれば、みんな繋がっていたけど、今は分からない。他の人にも聞いてみたけどわからない。協会賞の候補作で初めて知るのもある。今はオタクの方がよく知ってるんじゃないかな。漫画家は狭い範囲しか知らない。大きな流れみたいなのはわかるけど。あまりにも種類が多すぎる。昔は相当細かい所までわかったけど。雑誌にしても、週刊誌にしてもありすぎて、全部知るのは不可能。みんなその範囲内でやっている。賞も集まった中でやっている。外国は前に選考をやったんだけど、日本のマンガより面白さでは落ちるね。中国とかは絵は上手いけど、ストーリー展開は日本のほうが格段に上手い。ストーリー展開ができれば日本は負けるんじゃない?あちらは国を挙げてやってるからね。そのうちわからない。もの凄い熱心なんだモン。日本は手塚治虫みたいな人が出てくるべきだね。ほんの少し前のマンガは、手塚治虫という山があって、みんなわかったけど、今はそうじゃない。ひとつの巨匠のところに集まるものではなくなった。浦沢直樹はわかるんだけど」

 

沖縄のマンガについても伺った。

「沖縄には6回ほど行った事がある。展覧会やコンサートなど。最近行ったのはもう6〜7年前のコンサートだね。沖縄関係の仕事はした事ないけど、アンパンマンの中でニガウリマンというのを出した事はある。ニガウリというのは面白い。イボが沢山あってね。ニガウリマンはギターを弾くとニガウリが飛び出す。今後はまたどこかで沖縄が出るかもしれない。沖縄のマンガで見た事あるのは渡嘉敷唯夫さんの政治マンガと島袋さんが持って来た『コミックおきなわ同窓会スペシャル』くらいかな。結構上手だと思ったよ。沖縄は芸能が優れているので、マンガもおそらくできると思う。南国の人の体質には短編が合ってる。長篇は難しい。中にはできる人もいるけど。長編は北国の人が合ってる。僕も高知県出身で南の方になるので短編が合ってる。長いのは東北など雪深いところ。南の人は明るく陽気で楽しいのを描いた方がいい。そのほうがいかにも南らしい。北の人はしっとりとじっくり読ませるものを」

「大変いいできなので皆さんぜひ見て下さい」
 

最後に、コミックチャンプルーについても伺った。

「まずはユニークでなくちゃいけない。今までにないものを期待するね。真似したものでなくて、何らかの意味で違うもの。簡単にできるものなら民族的なものとか。沖縄の歴史とか。そこでしかできないようなのをやるべきだね。しかもこの人しか描けないような。誰かひとり出てくればいい。全員でやればユニークでなくなるからね。そして読んでいて面白いもの。本人だけ面白くてもダメ。最後に、沖縄という風土に生まれたなら、ぜひユニークなマンガを描いて下さい」

著者プロフィール
やなせたかし
大正8年、高知県生まれ。
東京高等工芸学校図案科卒業(現千葉大学工学部)。三越宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務。昭和29年退社、フリーとなる。昭和39年より3年間NHK「まんが学校」に先生として出演。現在、日本漫画家協会理事長、日本青少年文化センター理事、有限会社やなせスタジオ取締役社長。アンパンマンミュージアム名誉館長。主な絵本・出版物は「やさしいライオン」「あんぱあんまん」「アンパンマンの冒険シリーズ」(以上フレーベル館刊)ほか多数。作詞は「手のひらを太陽に」「それいけ!アンパンマン」「こどもミュージカル『アンパンマン』全曲作詞など。アニメーション作品は「やさしいライオン」「ちいさなジャンボ」「バラの花とジョー」「それいけ!アンパンマン」テレビアニメ、「それいけ!アンパンマン」劇場映画など。

お知らせ

アンパンマン

〜映画もテレビも、今年で20年。いくぞ!みんなのアンパンマン!〜

それいけ!アンパンマン
妖精リンリンのひみつ

サザンプレックスにて7月12日(土)より夏休み元気100倍ロードショー!
美しくて可憐な勇気の花の妖精リンリンと超強力なロボット、ズダダンダン。お話は面白くて悲しくて感動的!今年のアンパンマン映画は20周年にふさわしいシリーズ最高傑作!見のがせません。 やなせたかし
同時上映:ヒャヒャヒヤリコとばぶばぶばいきんまん



編集・発行人:島袋 直子
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